さらにもう少し詳しく、専門的に説明してみましょう。5-リダクターゼには I 型と II 型の2種類があります。男性ホルモンが細胞に影響して薄毛化の原因となるためには、テストステロンと II 型5-リダクターゼと男性ホルモン受容体(リセプター)の3者が必要です。男性ホルモン受容体は髭、腋毛、前頭部の毛乳頭の細胞に存在しますが、後頭部の毛乳頭細胞にはほとんど見られません。また、顎髭、前頭部の毛乳頭細胞には I 型と II 型の5-リダクターゼが存在していますが、後頭部の毛乳頭や腋毛には I 型の5-リダクターゼしか存在しません。これらの違いから、髭や男性型脱毛、女性型脱毛などの特徴的な 変化が生じてくるのです。すなわち、前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞には II 型5-リダクターゼと男性ホルモン受容体の両者が存在するので、テストステロンを5-DHTに代謝して薄毛が進行していくのですが、後頭部と側頭部の毛乳頭細胞には I 型5-リダクターゼしかなく男性ホルモン受容体も少ないので薄毛になりにくいのです。
フィナステライド(プロペシア)は II 型5-リダクターゼを特異的に阻害する作用があり、男性型脱毛の治療には有効なことが認められています。毎日1mg内服すれば、半年〜1年後から発毛効果が現れますが、中止すれば数ヶ月〜半年で効果が消失します。副作用が発生する頻度は低く、男性の数%以下に性機能抑制がみられることがありますが、内服を中止すればもとにもどります。妊娠可能な女性は胎児に異常を生じる可能性があるので内服が禁止されています。また、閉経期を過ぎた女性には効果はありません。